都市の未来を支える拠点~日本橋本町四丁目計画~

2025年11月4日

 

工事概要

工事名称:(仮称)中央区日本橋本町四丁目計画 地下解体工事及び新築工事
所  在  地:東京都中央区日本橋本町四丁目8番17号
発  注  者:三菱地所株式会社
設計監理:株式会社 アーキフォルム
工    期:2024年4月1日~2025年9月16日
建物用途:事務所、飲食店
敷地面積:282.59m2
建築面積:240.39m2
延床面積:2,494.37m2
建物高さ:42.65m
階    数:地上11階
構    造:鉄骨造
 

エントランス

EVホール

ラウンジ

5階 オフィス

10階 オフィス

屋上庭園

特徴的な部分や建物の紹介

 国道および区道に面する外装は、当初予定していたフラットタイプの押出成形セメント板を買主の要望を受けて意匠性に優れた2種類のデザインパネルの押出成形セメント板を採用しました。
 一つは 凹凸2mmのテクスチャーパネル(オフホワイト仕上げ)です。近くで見るとシャープな凹凸が際立ち、繊細なテクスチャーが印象に残ります。一方、遠くから見るとフラットな面として認識され、オフホワイトの仕上げが柔らかく上品な印象を与えます。
 もう一つは傾斜リブによるグラデーションパネル(ブラック仕上げ)です。表面に施されたリブの片側を端から徐々に傾斜させることで、均一なデザイン性を保ちつつ、壁面に繊細な影のグラデーションが生まれる構造となっています。太陽の動きに伴い、陰影や反射が刻々と変化するため、時間の経過とともに壁面全体が幻想的に遷り変わる視覚効果を生み出します。
 全体的として、白と黒のコントラストが際立ち、建物全体として洗練されたモダンな外観が実現しました。
 

テクスチャーパネル

施工や安全管理で工夫したこと

 本計画地は国道4号線(江戸通り)と区道が交差する角地に位置し、新日本橋駅地下入口まで徒歩1分という、人通りの多い立地です。通勤・通学時間帯や日中の歩行者の安全確保を目的として、歩行者動線と作業動線を明確に区画しました。特に大型資材搬入時には、道路使用に関して中央警察署および近隣関係者と情報を共有し、社員・協力業者・警備員へ周知の徹底を図ることで安全を最優先に計画的かつ柔軟な施工管理を実施しました。

一番難しかった、苦労した工程

 敷地が狭小であるため11階の鉄骨建方については、関係業者と綿密な打合せを重ね、施工方法を慎重に検討しました。建て方作業は敷地内で8階梁までしかできず、上階の建て方については西側の区道を通行止めして行う必要がありました。作業時間については、中央警察署との協議の結果、夜間または土日での施工となり、工程を考慮したうえで月~土曜日の夜間に80tラフタークレーンを使用し、約1ヶ月間にわたり施工しました。
 上階および塔屋部分の施工ではクレーン設置場所が近接していたため、下階の梁を一時的に取り外すなどの工夫を施し、作業効率と安全に配慮し慎重に進めました。
 

鉄骨建方(敷地内)

鉄骨建方(夜間道路)

DXへの取り組み

 現場事務所と施工現場が離れていたため、WEBカメラを設置し、大型搬入時の状況確認、歩行者通路の安全確認、工事進捗の把握、防犯対策等に活用しました。東京支店建築部ともリアルタイムで情報共有を行い、不審者の侵入や盗難等のトラブルもなく円滑な運用ができました。また職員はiPadを活用することで、現場での情報確認や記録作業の迅速化を図り、業務の効率化に寄与しました。さらに、遠隔臨場検査や安全パトロールを東京支店と連携して実施し、現場に不在でも状況把握が可能となり、管理精度の向上につながりました。
 最終検査段階ではLAXYを活用し、検査記録の整理や業者ごとの是正項目の管理等を効率的に行うことで検査業務の質とスピードの両立を実現できました。

働き方改革への取り組み

 当計画は、国道4号線(江戸通り)と区道が交差する角地に位置していたため、鉄骨建方やクレーン作業では区道の通行止めを伴う施工が多く発生しました。その結果、夜間作業は合計で約2ヶ月間に及び、週4日・8休体制の確保が困難な状況となりました。しかしながら、社員の健康と働き方に配慮し、昼夜交代制を導入することで、月8日の休暇をほぼ確保できるよう調整を行いました。これにより十分なリフレッシュ時間を確保し、働きやすい環境づくりに努めました。

関係者への感謝の言葉

 工事期間18.5ヶ月の間、昼夜を通じて施工を行い、無事故・無災害で竣工・引渡しを迎えることができました。これは、発注者様、設計監理者様、協力会社の皆様、東京支店建築部、支店の各部署をはじめ、本計画に携わったすべての方々のご尽力とご指導の賜物であり、この場をお借りして心より感謝申し上げます。
 現場では若手社員が施工管理に真摯に向き合い、悩みながらも多くの困難を乗り越えました。
竣工・引渡しの際には、達成感や充実感に加え、発注者・設計監理者の皆様方からの温かいねぎらいの言葉をいただき、大きな満足と誇りを感じることができたと思います。
 今後も、仕事に本気で真摯に向き合い続けてください。
 皆さんのさらなる飛躍を心より期待しています。