環境・地域・未来をつなぐ施設~駒岡清掃工場更新事業建設工事~

2025年10月16日



工事概要・建物概要

工事名称:駒岡清掃工場更新事業建設工事
所在地:北海道札幌市南区 真駒内129番3ほか
発注者:札幌市
設計会社:株式会社 タクマ、極東開発工業株式会社
監理会社:株式会社 エイト日本技術開発
工期:202年5月29日~2025年7月31日
建物用途:清掃工場
敷地面積:82,748.29m2
建築面積:18141.59m2
延床面積:35,063.13m2
最高高さ:39.72m
階数:地下2階 地上7階
構造:S造一部SRC造・RC造
 

はじめに

 現在、札幌市では燃やせるごみを駒岡清掃工場、発寒清掃工場、白石清掃工場の3施設で焼却処理をしています。このうちで最も古い駒岡清掃工場は稼働後30年以上経過し老朽化が進んでいることから、この度の建て替え工事が実施されることとなりました。今回の発注形態は、設計・建設および運営・維持管理業務を一括して事業者に委託するDBO方式です。

 全景

 2023年8月工事中全景

今回の工事で特徴的な部分や建物の紹介

 焼却施設棟には深さ約20mのごみピットがあり、焼却炉が2基設置されています。ごみを投入する扉は10ヶ所あり、効率的な処理が可能です。煙突は高さ地上100mで、旧駒岡清掃工場とほぼ同じ高さです。破砕施設棟の1階には、タイヤショベルが走行可能な広々とした空間があり、破砕機に投入するための大きなベルトコンベアが配置されています。管理棟では1階ホールが3階まで吹き抜けとなっており、外壁側には、ガラス面を多用することで自然光を取り入れた開放的な空間が広がっています。2階には最大180名を収容できる多目的ホールがあり、さまざまな用途に対応可能です。敷地南側には緑地が整備され遊歩道や多目的に使用できるKOMAOKA広場が設けられています。地域住民に開放されていて、親しみやすい施設として計画されています。
 また施設内には見学者通路があり、プロジェクションマッピングやゲーム体験を通じて、ごみ処理事業の理解を深めることができます。焼却炉の排熱は発電に活用され、地下鉄の電力供給に貢献しています。さらに、地域暖房として真駒内地区に熱供給を行うほか、防災拠点としての機能も備えており、非常食の備蓄や災害時でも安定したインフラ供給が可能な施設設計となっています。

 【焼却】 ごみピット(5階から)

 【焼却】 ごみピット(5階から)

 見学者ホール

 管理棟ホール

施工や安全管理で工夫したこと

 敷地は8haと広いように思いますが、主要建物が3棟あり実際に工事で使用できるエリアは限られています。そのため、資材ヤード位置、搬入動線、クレーン配置計画、安全通路の確保等についてプラント2社とデータを共有しながら場内配置図を作成し、綿密な打合せを重ねて、安全に作業できるよう努めました。

 【焼却】 炉室(4階)

 【焼却】 2階投入ステージ
 

ここが一番難しかった、苦労したという工程

 苦労した点を挙げればきりがありませんが、最も大変だったのは、プラント機械の搬入・設置と並行して建築工事を進めることでした。プラント側との作業調整も複雑で非常に難易度の高い工事だったと思います。
 また、各建物の階高が6mと高く、吹き抜けなどの大空間が多かったため、躯体構築や仕上げ工事に必要な作業足場、支保工足場を計画するなど、実際の工事も大変苦労しました。

 【破砕】自己搬入車両用受入貯留ヤード

 【破砕】投入ステージ

DXへの取り組み

 プラント電気・機械、建築電気・機械の配管、配線ルートの調整が複雑であったため、各種機器等との干渉を避けるために、BIMを活用した調整会議を行い検討に役立てました。
 また、Webライブカメラを複数台設置することで、事務所から現場を容易に確認できるようにし、防犯対策にも活用しました。さらに、現場職員がiPadを使用し、Slackなどの連絡ツールを活用することで、業務の効率化や作業時間の短縮を図ることができました。

関係者への感謝の言葉、若手社員へのメッセージ

 工事期間は約4年におよび、札幌市としても大きな事業ということもあったことから注目度の高い現場でした。無事に完成を迎えることができたのは、工事関係者の皆様のご尽力、そして本店ならびに他現場の方々のご協力の賜物であり、この場をお借りして心より深く感謝申し上げます。
 駒岡清掃工場については昭和60年の新築工事も当社が施工しており、折に触れて諸先輩方からの当時のご苦労話を伺うたびに、この度の建設工事も当社で行えたことに深い感慨を覚えます。若手社員の皆さん方には、我々の仕事が札幌市民、ひいてはこの社会に貢献し続けているということを誇りに思い、日々の職務に真摯に取り組んでいただきたいと願っています。