2025年4月24日

工事概要
工事名称:宍道湖西岸農地整備事業 布崎排水機場建設工事工事場所:島根県出雲市園町地内
工期:2022年2月5日~2024年5月30日
発注者:中国四国農政局
1.機場本体工 1式
(1) 吸水槽 L=13m
(2)吐出水槽 L=6m
2.吐出樋管工 L=27m
3.遊水池工
(1)矢板護岸工 L=25m
4.建築工事 ポンプ場施設1式
(1) 形式 鉄筋コンクリート造(地上1階)
(2)延床面積 A=323.15㎡
5.電気設備工事 1式
6.機械設備工事 1式
7.ゲート設備 1門
(1) 形式 ステンレス鋼製ローラーゲート
(2)寸法 純径間2.0m、扉高2.05m
(3)操作設備 1式
(4)鋼製付属設備 1式
特徴的な部分や建物の紹介
本地域は島根県中東部の出雲平野に位置し、宍道湖を望む斐伊川左岸流域に展開する県下有数の水田農業地帯で、水稲を中心に、小麦・大豆等も栽培されています。この地域の農業は土地利用型農業を基盤としており、農地の区画整理や排水施設の整備が重要です。特に低平地であるため、常に地下水位が高く、降雨時には湛水することがあります。これにより、水田・畑利用に支障をきたし、農業者の耕作意欲の低下が懸念されるため排水改良が強く求められてきました。そのような中、本工事は宍道湖畔に排水機場と排水路を築造することで、長年の課題である湛水被害を解消することを目的としています。


施工や安全管理で工夫した点
既存の遊水池内に排水機場を築造するに当たり、当初は、大型土のうで仮締切をして築造する計画でしたが、地下水位が高く、施工中に大型土のうが崩れてくる状況でした。そのため、鋼矢板で仮締切りを行うことによって安全に施工することができました。排水路である樋門及びかごマットは非常に複雑な形状をしていたので、該当構造物の3Dモデルを作成し可視化しました。

遊水池内 鋼矢板施工状況

護床ブロック設置

水路(かごマット)設置

建築施工状況

3Dモデル 水路(かごマット)

3Dモデル 吐出樋管~護床

3Dモデル ゲート
苦労した工程
当該地域は、日本海側に面しており秋冬期は非常に風が強く、雨・雪が多い地域でした。また2年4か月の工期のうち、非出水期施工(10月末から6月末)が2期で設定されており、自然環境や工事期間が制限されるということで全体工程管理に苦慮しました。このように、工程が制限されていたことから、狭いヤードで機場コンクリート打設、機場躯体築造、樋門築造と輻輳作業の調整が大変でした。

土木工事施工状況

土木躯体工事完了
働き方改革への取り組み
業務の分担・繁忙期の職員配置を適正に行ったため、全期間において全職員の残業が月45時間を超えることはありませんでした。
関係者への感謝の言葉、若手社員へのメッセージ
工期が約2年4か月と長期にわたる現場でしたが、無事故無災害で完成することができたことは、発注者様をはじめ地域住民、工事関係者の皆様方のご支援・ご協力があったからこそです。この場をお借りして心より深く感謝申し上げます。当現場の職員構成は大きく熟練グループと20代前半グループに分かれており、世代間のギャップがありました。そのような中、時に山陰の美味しいものを堪能する機会をもつなど、コミュニケーションがしっかり取れるよう配慮しながら、常に連携を密にし、全員が一丸となって最終目標の達成に向けて鋭意取り組みました。若手職員にとって今回の現場は、コンクリート工事・河川工事・仮設工事と多岐にわたり、様々な経験ができたと思います。いろいろな工種を経験することは、技術者にとって大きな財産であり、それだけ引き出しが多くなります。そこで身に着けた『自分の経験の引き出し』を今後の現場でも駆使し、生かすことで、自分の個性をより一層表現してほしいと思います。