2025年2月7日
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工事概要
工事名称:国庫補助事業 豊平川水道水源水質保全 管理センターほか新設工事
工事場所:札幌市南区白川1814
工 期:2020年6月17日~2025年2月10日
発 注 者 :札幌市水道局給水部工事課
工事内容
【土木・建築】
・敷地造成工 一式
・水平部鋼管設置 一式
・減勢工 一式
・白川接合井 一式
・管理センター棟 RC造 建築面積 4,503.78m2(地上1階、地下2階)
・合流井 RC造 建築面積 141.59m2(地上1階、地下1階)
・分水井 RC造 建築面積 711.31m2(地上1階、地下1階)
・場内各種配管(Φ150~Φ1600) 1,520.5m
【機械設備工】
・白川接合井 制水ゲート1門、排砂ゲート1門
・合流井 室内配管(Φ400~Φ1000) 32.9m
・分水井 室内配管( 25A~Φ1600) 68.3m
【電気設備工事】
・各棟接地工事 一式
事業の概要や特徴的な部分
本事業は札幌市の水道水源の98%をまかなう豊平川の水質を保全するために対策を施し、将来に渡り、より安全で良質な水道水を供給することを目的としているものです。
具体的には、通常時の水質悪化要因であるヒ素等を含む自然湧水や下水処理水を当施設で浄水処理し下流水質の保全を図ります。
また、緊急時にはバイパス管を一時的に切替え、清浄な河川水を白川浄水場へ直接導水し、断水を回避するための施設ともなります。
施工で工夫したこと
池棟1では地下に自己治癒コンクリートを試験的に採用しています。当初に約5,000m3の大規模打設を行うことは道内では初めてです。通常のコンクリートの場合は水槽内にひび割れが発生すると、止水工事のために多額の補修費用がかかりますが、自己治癒型コンクリートの場合は細菌が水と空気に反応してひび割れを塞いでくれるので、補修費用を大幅に削減できるメリットがあります。
池棟1地下2階コンクリート打設状況
ここが一番難しかった、苦労したという工程
構造物は白川接合井、減勢工、管理棟、池棟1、池棟2、合流井、分水井と大きく7施設です。施工は白川接合井から開始する予定でしたが、その時点では未だに前年度工事が完了しておらず約半年間待たされる形となりました。
そして2024年度には、後発工事が8社予定されていたことから、当工事の遅れが後々のバイパス事業計画全体に影響を及ぼすため、全工程を短縮することが必須でした。
白川接合井では大型クレーンにより作業の効率化を図ると共に、周辺部置換コンクリート工事では当初インクラインとケーブルクレーンを使用しての打設を予定していましたが、配合を見直し地上から90m圧送することで、16m3/hから32m3/hへと時間を短縮することが出来ました。
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インクラインを使用してコンクリート打設状況
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インクラインを使用してコンクリート打設状況
また管理センター棟では、発注時の事業工程を見直し、中央の池棟1から施工を開始し、次年度に管理棟と池棟2を同時施工できるような工程に組み直しました。鉄筋は重ね継手から一部を機械式継手に変更し、バックヤードの確保、揚重作業とコンクリートの打設作業を同時に行えるよう提案し設計事務所から承認を得ました。その結果、当初工程を約4ヶ月間短縮することができました。
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800tクレーンを使用してインクライン解体と
斜面階段を同時期に施工
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池棟2地下2階4系
DXへの取り組み(ICTやBIMの活用等)
ドローンとレーザースキャナ―を併用し出来形計測を行いました。水槽部の形状が複雑であったため3Dモデルを作成し可視化しました。
ドローンとレーザースキャナーを併用した出来形計測 施工前
ドローンとレーザースキャナーを併用した出来形計測 施工後
3Dモデルを作成し複雑な形状を可視化
関係者へのお礼及び若手社員へのメッセージ
工事開始から約4年半が経過し何とか竣工の日を迎えることができました。いろいろと問題の多い現場ではありましたが、札幌市民のインフラ整備に欠かせない事業に携われたことを大変誇りに思っています。この度無事竣工できましたのもひとえに発注者並びに本工事に携わった関係者の皆様方のご協力があったからこそです。この場をお借りして心より深謝申し上げます。担い手不足が大きく叫ばれる中、お陰様で当現場では20代の多くの職員が日々鋭意尽力してくれました。辛いことや大変なことも数多くあったかと思いますが今回の工事を通じて物造りの楽しさや施工物が完成した時の達成感や充実感を感じていただけたらと思います。