富士山の絶景と四季折々の表情を融合させる建物 ~忍野村保養所新築工事~

2024年10月16日

工事概要

工事名称:忍野村保養所計画 新築工事
所  在  地:山梨県南都留郡忍野村内野字上原1774番1・3・5(地番)
発  注  者:株式会社マウントフジビュー
設計監理:隈研吾建築都市設計事務所
工    期:2023年3月17日~2024年1月16日(外構完了:2024年6月4日)
建物用途:保養所/寄宿舎
敷地面積:2,222.59m2(673.51坪)
建築面積:510.10m2(154.31坪)
延床面積:403.84m2(122.16坪)
最高高さ:GL+5.69m
階    数:地上1階
構    造:鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造
建物概要:多目的室、寝室、浴室、洗面所、トレーニングルーム、ゲストルーム、食堂、
     キッチン、執務室、食品庫、洗濯室、駐車場、ゴミ・ボンベ庫


 東面(玄関)

 屋根形状

特徴的な部分や建物の紹介

 敷地は山梨県南都留郡忍野村の山間、標高約1,000mであり、周囲に高い建物は無く、富士山の絶景を存分に楽しめるロケーションとなっています。建物外壁も、富士山側はすべて大型のサッシ・ガラスが配置されており、内部からの富士山の絶景を楽しむことができます。
 外観仕上げは、屋根は板金横葺き、外壁は杉板上小節大和貼・ステンレスサッシ・アルミサッシ・高透過+LOW-Eペアガラスで構成され、『木と金属・ガラス』で纏められおり、周囲の自然との融合と建物の存在感の双方を適え、外構植栽との調和により四季折々の表情を堪能できる建物となっています。

 多目的室

 浴室・洗面所


施工や安全管理で工夫した点

 近接する建物は北側に1軒の住居がある他、養鶏場があり、騒音・振動対策に細心の注意を払い安全管理に努めました。お隣の住居・養鶏場には定期的にご挨拶に伺い、影響の有無・状況確認を実施しました。 施工に関しては、意匠設計上の最重要ポイントを明確・共有するために、既製ユニットハウスを利用し外装・内装の1/1スケールでのモックアップを製作し、発注者・設計者共に来現いただき、納まり確認・色選定を実施したことによって、スムーズに決定・承諾を得ることができました。

 モックアップ全景

 モックアップ確認:隈 研吾氏


一番難しかった、苦労した工程

 建築工事として当社が山梨県で施工することが初めてであったため、地元協力業者を主とした協力体制の確立に苦慮しました。 また、軒天井の仕上げが「アイカ工業:ジョリパット(水墨)」という仕上げ塗材で、左官工が現場で鏝塗り仕上げをするのですが、材料練り混ぜ後の存置時間・気候・鏝の仕上げ方・強弱の加減で、全く仕上り方が変わるため、何種類もサンプル・モックアップを製作し、設計者に確認し、また製作し直すということを繰り返しました。 更に、設計者:隈 研吾氏来現の際に「壁際から軒先に向かって徐々に薄くなるように、グラデーション状に仕上げてほしい」というリクエストが新たに加わりました。左官工と一緒に試行錯誤を繰り返し、ようやく確認が取れ実際に注意を払って施工し仕上り後、隈 研吾氏からOKをいただいた際は安堵しました。(同仕上げは他所には存在しない、この建物唯一のものです)

 軒天井ジョリパット

 南面夜景


DXへの取り組み

・寄棟屋根下地鉄骨をBIM・3D解析することによりすべて角度の違う寄棟屋根板金横葺   
 きの割付や 空調設備ダクトルート検討に役立ちました。
・WEBライブカメラの設置(2ヶ所)により、 現場状況確認・監視・防犯に活用でき、
 発注者・設計者・東京支店建築部とリアルタイムで 情報・状況共有ができました。
・職員のiPad活用・持ち歩くことにより業務の効率化・時短化に繋がりました。
・ビルディ活用により安全書類・作業日誌管理がスムーズになりました。
・スパイダープラス活用により段階・最終検査時の是正事項の取り纏め・是正指示の効率化
 に繋がりました。
・ウェアラブルカメラ試験運用により、遠隔臨場検査・遠隔臨場パトロールを、東京支店間で実施できました。


関係者への感謝の言葉

  工事期間約10ヶ月の間、無事故無災害で完成することができたことは、工事関係者の皆様のご尽力と本店・東京支店の各位の方々のご協力の賜物であり、この場をお借りし深く感謝申し上げます。
竣工式の際、発注者・設計者・岩田社長から労いの言葉をいただいたことに感激しております。若手社員の方々には、施工管理業務へ真摯に挑み・悩み、苦労を乗り越えた先にある建物竣工の達成感、発注者・設計者の方々が喜んでいる姿を見ることによる充実感を、是非味わってもらいたいです。