旧炭鉱跡地に近接したトンネル~北海道縦貫自動車道留萌トンネル工事~

2017年10月17日

旧大和田炭鉱跡に近接したトンネル

深川・留萌自動車道は、北海道縦貫自動車道の深川JCTを起点として留萌市に至る延長約49kmの自動車専用道路です。本路線は北海道縦貫自動車道と一体となって、道央圏・道北圏と留萌地域を結ぶ高速交通ネットワークを形成し、安全性・定時性の確保された高規格幹線道路として整備されることにより、拠点都市へのアクセス向上、貨物の流通及び留萌港の利便性向上が期待されます。

昭和30年代まで石炭を生産していた旧大和田炭鉱跡に近接し、留萌市街地の南東約5kmのところにある延長L=830mのトンネルを当社が施工しました。
 

トンネル地質

 トンネル周辺の地質は、古生代の隈根尻層、新第三紀中新世の大和田夾炭層、新第三紀鮮新世の峠下層に区分されます。留萌川流域には沖積層及び、段丘堆積層が分布しています。

隈根尻層は粘板岩、輝緑凝灰岩、硬質砂岩からなり、堆積時代が白亜紀と古く、岩質は堅硬で緻密です。トンネル掘削の主体となる地質です。

大和田夾炭層(写真)は、終点側坑口付近に分布し、石炭を夾有します。峠下層は起点側からトンネル中央部に分布し、隈根尻層及び大和田夾炭層を不整合に覆っています。

トンネル掘削方向は、炭鉱跡地の終点側坑口からの片押し施工です。


 

可燃性ガス発生を考慮した事故防止対策

  トンネルルートは旧大和田炭鉱跡に近接し、終点側坑口には大和田夾炭層が分布しています。このため可燃性ガスの発生を考慮した事故防止対策を実施しました。

DRISSによる事前調査

 可燃性ガスの発生は、炭層、旧坑道(空洞)や地層境界、破砕帯及び地下水滞水箇所と密接に関係しています。これらを事前に調査・把握するため切羽前方探査「DRISS」を実施しました。探査は1サイクルを切羽から延長30mで3箇所穿孔して、トンネル全線で実施しました。












 

可燃性ガスの自動測定及び自動警報

トンネル坑内全体の可燃性ガスを検知するため、切羽と坑内100m間隔に自動警報装置付きガス検知器を設置しました。

検知器は24時間リアルタイムに自動測定し、異常時に回転灯や警報ブザー及びメール配信により自動警報が作動するシステムです。自動測定の結果は、現場事務所の監視モニターで監視しています。入坑時の安全は、坑口に設置した監視モニターで確認できるようにしました。


 

可燃性ガス濃度の自主管理基準

可燃性ガス濃度測定の際には、安全性を考慮した自主管理基準の設定や4段階に分けた管理レベルの設定により、レベル毎の連絡方法や対策を明確にしました。






 

工事再開前の対策

 工事再開手順は、大型送風機(3000m3 /min)により強制換気を30分間行い、坑内のガス濃度が0.2%未満である事を監視モニターで確認し、携帯型ガス検知器で各作業箇所の安全を確認する流れとしました。
 

工事を終えて

 留萌トンネル工事は、平成26年1月中旬から坑口付けを開始し、平成27年2月25日に来賓、発注者はじめ施工関係者130名にご出席いただき貫通式を執り行いました。留萌開発建設部の皆様をはじめ、会社各部の皆様、留萌市潮静地区・大和田地区の皆様、関係各位のご指導とご協力に深く感謝申し上げます。




















 

 

工事施工状況

トンネル掘削施工サイクル












































覆工施工サイクル

































起終点施工状況






















貫通式・見学会