2016年6月16日
天国へ昇る階段
イフガオ小水力発電は、フィリピン国ルソン島
Wikipediaから引用


終わらない現場は無いとは言うけれど…
当初は藤田明寛所長(土木担当)と石井輝男事務長(建築担当)の2名体制でスタートしました。しかし、用地取得未解決、伐採許可の遅延、度重なる斜面崩壊や河川増水、数々の設計図面との不一致、果ては開削導水路の一部がトンネルに変更になるなど、次々に発生する難問に対応するために、最終的には延べ7名の社員が赴任する難工事となり、藤田所長は「竣工(して帰国)できるのだろうか?」との不安が過ったそうです。

日本国内であれば、重機の追加や協力業者の応援も期待できますが、現場までの搬入路すら無いフィリピンの山奥では、資材は人力の簡易索道(最大積載荷重50kg)で谷に下ろし、そこからは再び人力で運搬するという、前時代的な人海戦術に頼るしか無く、今日は作業員が何人集まるのだろうかと心配する日々が続きました。
ちなみに、作業員は最大で約200人/日を記録しましたが、農業を本業とする人が多く、田植えや稲刈りの時期などは農業優先となり、現場の安定した労働力確保には大変苦労しました。
しかしながら、数多くの問題を根気良く解決し続けることで、2015年7月に無事故無災害(無災害時間:489,600時間、20ヶ月)で工事を終える事ができました。
施工状況
工事を終えて
ODAは途上国支援という目的から、不自由な施工環境や厳しい条件の下で行わなければならない場合もあります。加えて、発想を大きく変えなければならない事も起こります。例えば、100m3の掘削作業を行うのに、日本なら重機を1台手配して数時間掛からずに終わるでしょう。しかし、途上国の場合、重機1台/日よりも作業員100人/日の方が安い場合もあるのです。また、地域の雇
用を生み出し、地域経済に貢献するという観点からも後者を選ばなければなりません。
言葉や文化の壁を乗り越えて、現地の人々と力を合わせて「手作り」で作り上げたという大きな感動や新鮮な経験は海外工事ならではのものであり、是非、皆様にも一度味わって頂きたいと思います。
最後に、フィリピンの美しい文化である棚田群が健全に保全され、その一端を当社の施工した発電事業が永く担って行く事を願っています。サラマッポ。【川合】
完成写真





