無人化施工で最大気圧0.513Mpaに挑む~清畠橋梁下部工事~

2016年12月15日

最大気圧0.513Mpaの橋梁下部工事

 日高自動車道は、北海道縦貫自動車道苫小牧東インターチェンジから分岐し、浦河町に至る延長約120kmの自動車専用道路です。日高自動車道 清畠橋は現在供用終点の日高門別インターチェンジから約8㎞にあり、沙流郡日高町に位置する橋長212.8mの橋梁です。


 

清畠橋のうち下部工の橋脚2基をニューマチックケーソン工法で当社が施工しました。施工箇所は旧砂利採取場跡地で、現在は湧水によりため池になっているところです。池と言っても、水深がなんと25mもあります。そこから底面地盤まで26mを沈下掘削するわけで、水面から合計51mとなり、ケーソン施工時の最大気圧は0.51Mpaとなります。この値は道路橋では道内で最大、全国でも3番目の記録です。


 この気圧下での有人作業は90分で、減圧時間に4時間が必要となります。減圧症、いわゆる潜水病のリスクが高まる過酷な作業環境となることから、無人化施工で最大気圧0.513Mpaに挑むことになりました。

ニューマチックケーソン工法とは

ニューマチックケーソンエ法は、コップを逆さまにして水中に押し込んだ状態のように、水の浸入を空気の圧力によって防ぐ原理を応用したものです。オープンケーソンが両端にふたのない筒であるのに対して、ニューマチックケーソンは、ケーソンの下部に気密作業室を設け、そこに圧縮空気を送り込んで地下水の浸入を防ぎ、地上と同じ状態で掘削ができるようになっています。作業室では掘削機械であるケーソンショベルで沈下掘削作業を行います。



 

無人化施工

 地上部からケーソンショベルを遠隔操作することで、作業室内の掘削作業を無人化しました。作業室内に設置されたカメラの映像を、地上部の操作室内のモニターで確認して遠隔操作で沈下掘削作業を行います。
 
また、ケーソンショベルの組立・解体、メンテナンス作業は作業ロボット「す一ぱ一くん」と「りふとくん」を使用して完全無人化施工としました。メンテナンス作業は1日に1回、目視による点検と機械稼働部へのグリス注入が基本です。「す一ぱ一くん」は、ブームアタッチメントを交換することにより、あらゆる作業に対応します。「りふとくん」は、機材の運搬を担います。


見学会ラッシュ 

見学会の申し込みが後を絶ちません。室蘭工業高校、苫小牧工業高校、JICA北海道、建設コンサルタント協会、室蘭工業大学、北海道土木技術会コンクリート研究委員会、9~10月だけで6件の見学会がありました。
 9月11日、苫小牧工業高等学校土木課1年生40名を迎えた現場見学会では、生徒達はモニターに映るケーソンロボットを「遠隔操作室・計測室」から遠隔操作して、無人化施工を体験しました。見学会は室蘭開発建設部・(一社)室蘭建設業協会・室蘭経営者協会が主催しました。見学会の最後に生徒からお礼とともに「今日学んだ事を高校3年になり就職を考えた時に生かしていきたい」との言葉があり、最新の土木技術を見学し有意義な一日となった様子でした。

 

施工状況







 コンクリート打設(1R)鋼殻を吊った状態で水平に保ち浮力をきかせながら、コンクリート重量で沈めていきます。吊架台撤去後、躯体を1ロット4m毎構築して、池底25mの着底まで繰り返します。その後ケーソン設備の設置になります。(P2橋脚施工状況の写真)